〜25年度まとめ抜粋〜
1.はじめに(背景)

2010年度から始まった溝口工業所との共同研究から4年目を迎えた。私たちはこれまでの研究を踏襲し、開発課題として取り組むこととした。これまでの経緯と今後の流れは次の通りとなっている。

2010年度 サニーロッジ検討
 2011年度 ハニーロッジ検討
      ハニーロッジ発展型検討

 2012年度 ハニーロッジ1/1スケール施工
      ハニーロッジ発展型・複合型検討

 2013年度 複合型2階建ハニーロッジ検討
        複合型2階建ハニーロッジの金物検討
      ハニーロッジのフレームの面内せん断試験

      複合型2階建ハニーロッジ1/2スケール施工

         ハニーロッジ発展型・複合型検討・模型作成
         ハニーロッジ部屋プラン検討
 2014年度 ハニーロッジの施工性向上に向けた壁のパネル化検討
      検討した壁パネルの面内せん断試験

      ハニーロッジの実大スケールの施工と施工要領書の作成
      ハニーロッジのプラン集及び詳細図作成
なお、サニーロッジは2010年度の段階で開発が終了し、現在は市場に出ている。(図1.1〜1.3)

また、サニーロッジの変形版(改良型)として取り組んだハニーロッジは、2011年度に1/2スケールを施工し、複合型のプランを考え模型を作成し、2012年度には1/1スケールのハニーロッジの施工をした。(図1.4〜1.12)

(注)図1.1〜1.3は溝口工業ホームページより引用  http://www.mzmoon.jp/sunnylodgemain.html

           
 図1.1 サニーロッジ広告@   図1.2 サニーロッジ広告A     図1.3 プランのパターン


       
  図1.4 複合型プラン1図面図        1.5 複合型プラン2図面        1.6 複合型プラン3図面


                         
   1.7 複合型プラン1模型         図1.8 複合型プラン2模型         1.9 複合型プラン3模型



          
     図1.10 ハニーロッジ           1.11 ハニーロッジ              1.12 発展型模型


2.目的

本年度の目的として、

(1)複合型2階建ハニーロッジ検討

(2)複合型2階建ハニーロッジの金物検討

(3)ハニーロッジのフレームの面内せん断試験

(4)複合型2階建ハニーロッジ1/2スケール施工

(5)ハニーロッジ発展型・複合型検討・模型作成

(6)ハニーロッジ部屋プラン検討

 となっている。(1)については、2012年度にあった発展型模型を元に複合型2階建ハニーロッジについて検討を行う。

 (2)については、今回2012年度に使用した金物から変更点があるので、その修正及び新たな金物の作製を行う

 (3)については、1/1スケールの梁寸法で1/2・2/3・3/4スケールで既存のフレーム(台形)を各1体、逆台形のものを各1体、柱垂直型のものを各1体、計9体の実験を行う。それぞれの壁倍率を算定後、1/1サイズの壁倍率を推定する

 (4)については、昨年度施工したハニーロッジの発展型として実際のスケールの長さ寸法のみ1/2スケールで施工を行い実際の施工手順についてまとめ、また実寸スケールの場合も考える。

 (5)については、ハニーロッジのフレームを組み合わせて新たな形を考えそれを基に模型の作成を行った。

 (6)については、ハニーロッジの様々な用途についてスケッチアップ上で検討を行った。

3.建物概要

 建物概要以下の通りとなっている。


上記数値は1/1スケールのもの。

1階部分を居室、2階部分をロフトとして検討している。
また図面の詳細については巻末に添付している。

   図3.1 平面図(イメージ)


  図3.2 断面図・立面図(イメージ)             図3.3 立面スケッチアップ

                                                      

4.スケジュール

 作業を始めるにあたって年間の作製を行った。結果として作業が前後したが基本的にこのスケジュールを元に作業を進めていった。(図4.1)



          図4.1. スケジュール


1.ハニーロッジのプラン検討

今回のハニーロッジは、八角形の一室空間である。住宅だけの用途にこだわらずに店舗や公衆トイレなどに使用することができるのではないかと考えた。屋根は今回、中を見やすくするために作成していない。

今回のプラン検討において、開口部の数が少ない理由として、強度実験の結果からフレームだけでは風に耐えることができず、8面のうち4面に壁が必要になったのでこのような仕様になっている。

 なお、検討方法として立体的・視覚的に確認できるよう、3次元CADを利用した。使用ソフトはフリーソフトsketch upである。

巻末にプラン検討集を添付する。


11 公衆トイレ

   公衆トイレは男女の入り口を分け、六角形の場合と八角形の場合を検討した。どちらも角が多くあるため計画がきれいな形で収まっていない。(図1.1.1、図1.1.2

     
       1.1.1 六角形公衆トイレ



次に、店舗としての活用方法を考えてみた。

12 BAR

室内の半分を客席に取り、もう半分は酒を置くスペースや軽食を調理できるように、間隔を取っている。(図1.2.1、図1.2.2

       
       1.2.1 BAR外観                   1.2.2 BAR内観




13カラオケルーム

カラオケルームにするために防音性を向上させるために開口部を減らし、窓を付けていない。敷地内に同じようなものをいくつか作成することで部屋数を確保できる。ハニーロッジ同士を離して設置するか、お互いに結合させることができる。(図1.2.1

        
    1.3.1 カラオケルーム内観              1.4.1 外観

  
          図1.4.2 内観



15個人の空間

趣味を行うことができる個人の空間として作成した。趣味は人それぞれにあるのでハニーロッジの面積内でできることを検討した。(図1.5.1、図1.5.2

 
    1.5.1 シアタールーム                          

   
      図1.5.2 麻雀ルーム



16駐車場

ハニーロッジのフレームを利用した駐車場である。柱が垂直のものと斜めのものを組み合わせることで様々なパターンを作ることが可能だと考える。(図1.6.1.



       図1.6.1 駐車場


 まとめ

1.1 スケジュール

 事前に作成したスケジュールに大きなずれは無く、予定通り作業を行うことができた。





               図1.1.1. スケジュール




1 
複合型2階建ハニーロッジの金物検討

 2012年度の金物データや企業からいただいた資料を基に金物の検討を行い実際に建て方に使用した。2012年度の金物図面では2次元的な図面が多く3次元的に金物を思い浮かべることが困難だったのでスケッチアップを使い3次元的に理解できるように検討をした。

実際に建て方に使用したが建て方を通しての問題・改善として廻り梁などを押さえる金物の角度によって柱を固定するボルトの一部が止めることができなかったので穴位置の変更等の金物の再検討や狭くてもボルトを止めるような方法を考える必要がある。



1.2.2 ハニーロッジのフレームの面内せん断試験

 ハニーロッジフレームの面内せん断試験では事前に期待していた数値が得られず、残念な結果となった。原因として、我々の施工精度に問題があったように思われる。さらに1パターンに月3回実験の行った中で3回とも同じ金物を使用しており実験の途中で金物が変形したということも数値の低下につながったのではないかと考えている。



1.2.3 複合型2階建ハニーロッジの1/2スケールの検討及び施工

 2012年度の発展案として示されていたハニーロッジのフレームを反対(逆台形)にしたものを組み合わせた複合型ハニーロッジの1/2スケールの施工を行い施工法についてまとめるということであったが、施工中に問題点も見つかった。

問題点としては

@ビスの頭の厚みを考慮せずに部材加工を行ったため施工時にさらに部材断面削らなければいけなかった。

A一部金物の間が狭くビスを取り付けることができなかった。

Bのぼり梁の屋根パネル取り付け面の勾配を間違えていた。

対策・解決案として

@ビスの頭の厚み分、木材加工図の修正を行う。

Aインパクトのソケットの長さを考慮して図面の修正を行う。狭くてもビスを締めることができるソケットを使う。

B加工図ミスにより起きたことなので、事前に確認を行い、不備があれば図面の修正を行い加工する。



1.2.4.ハニーロッジ発展型・複合型検討・模型作成

 ハニーロッジ発展型・複合型検討・模型作成についてはハニーロッジのフレームを使い新たな形を考えた模型を作製した。ハニーロッジフレームの上下を入れ替えたり片側のみ逆さにしてみたりしながら案を考えた。




1.2.5.ハニーロッジ部屋プラン検討

 部屋プランの検討として、ある用途に限定していろいろな案を出していった。部屋の大きさは用途を限定すれば十分な広さがあるので様々な検討を行うことができた。各班員でアイデアを出し、その中で多く出たアイデアをスケッチアップを使い立体化を行った。



2.次年度(2014年)に向けて

次年度では

@ハニーロッジの施工性向上に向けた壁のパネル化検討

A検討した壁パネルの面内せん断試験

Bハニーロッジの実大スケールの施工と施工要領書の作成

Cハニーロッジのプラン集及び詳細図作成

D複合型2階建ハニーロッジの金物図面の再検討またはビス取り付け方法の検討

を行うことを計画している。